2013/12/08

ルートヴィヒ・ウーラント 「海辺の城」 Ludwig Uhland. Das Schloss am Meere.

「あの城を見たかい
背の高い海辺の城を。
黄金の雲や薔薇色の雲が
その上を流れていたろう。

澄んだ水鏡の深みに
沈み込もうとしながら
燃える夕雲の高みに
飛び込もうと努める城を。」

「ああ、それなら見たよ
海辺の高い城だろう。
上には月が立っていて
周りには霧が広がっていた。」

「風や波立つ海の音は
生き生きとしていたかい。
高いところの広間からも
弦楽と祝祭の歌が聞こえてきただろう。」

「風や波はみな
深く休らっていた。
哀悼の歌が広間から聞こえてきて
涙を流してしまったよ。」

「じゃあ王と妃は
見えたかい。
赤いマントがはためき、
金の冠が輝いていたろう。

二人はうっとりとしながら
愛らしい乙女を連れていなかったかい。
太陽のようにまばゆく
金髪のきらめいている乙女を。」

「ああ、王と妃は見たけれど
光る冠はしていなかった。
真っ黒な喪服を身につけて
乙女の姿はなかった。」